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つばくらめ付け句 [付け句かるた]

つばくらめ付け句(野草選)

木にのぼり青葉の闇へ消えゆけり  黙壷子
 ぬぎ捨てられしくちなはの衣   律子

バーベルの蜻蛉止まりて傾きぬ   野草
 股からのぞく豊洲の市場     徳海

まず出でて直ぐなる風や秋近し   夏霜
 黄昏ながく百日紅散る      律子

鈴の音の鍵を浴衣の袂かな      黙狂
 すっかり忘れし昼の言ひ合ひ   柚

大仏の眉を涼しく長谷の空     夏霜
 滴る山を光背にして       默狂

透明になりて新樹の中を行く    和子
 黒揚羽ゆきかふ風の眉      佐太郎
 
二階より細き素足の下りきたる   結
 葭戸を開けて拭き掃除する    律子

春光のペンキ塗りたて触れるべし  徳海
 お花畑に足踏み入れて      夏霜

秋澄むやあらぬところに昼の月   黙狂 
 母を追ひかけ父の行くなり    結

きげん良き病児に似たる小春かな  和子
 背高のっぽの皇帝ダリア     柚

ダークスーツ颯爽としてつばくらめ 佐太郎
 佐々木小次郎はちまきしめて   和子

やはらかき卯の花腐し軒の猫    流水
 目は瞑るとも耳は欹てて     半眼

紫陽花のつぼみに昏き石畳     律子
 茶店の主は姉さん被り      流水

君の名を句会に知るや節分草    柚
 鬼のやうとも福のやうとも    黙狂

どの子にもその子の笑窪桃の花   野草
 うぶ毛ひかりし喜寿の福耳    菱玲

デザートは一片の梨病院食     淳郷
 また越え行かん小夜の中山    夏霜

冬の陽を一粒づつに砂時計     黙狂
 春の山辺に小鳥群立つ      夏霜

師走風のらくろ通りはぐれ犬    淳郷
 カウンター席奥が定位置     野草

青空を流れる水脈や枯木立     律子
 列島長く春遠からじ       佐太郎

風花の四次元ぬけて来たりけり   流水
 後すがたやついて行きたき    和子

やはらかき卯の花腐し軒の猫    流水
 目は瞑るとも耳は欹(そばだ)て 半眼

小暗きに氷菓舐め世を遠くせり   半眼
 当り棒もてせわしげな下駄    徳海

星ひとつ動かず花火二万発     黙狂
 鼻緒の色もこだわりのうち    柚

連れそひし九月の風の祇園町    夏霜
 枕の下ぞ水の流れる       佐太郎

ポケットに木の実の騒ぐ女学院   黙狂
 餌を求め里へ来る熊おやじ    徳海

竹箒真っ直ぐ立てて山眠る     徳海
 焚火に芋の焼ける頃合ひ     黙狂

熱燗の通夜の笑ひを許されよ    結
 酌み交はしつつ眼鏡をはずす   和子

ボート屋の固き施錠や浅き春    柚
 ペンキ塗り立てあと二、三日   徳海

涅槃図のいづくに母の泣きおはす  結
 ゆいよゆいよの声も聞こゆる   流水

肩越しにあだ名呼ばるる葱坊主   結
 俳号を受け今や大御所      德海

葉桜や柩のくぎは打たぬまま    結
 また共に見ん画家となる夢    半眼

蚊柱や役にも立たぬ男たち     流水
 扇子巧みに飛ばす賭事      德海

草の花座ればこつと尾骶骨     結
 一目散に蜥蜴飛び出す      夏霜

河馬の目の二つを見せて秋の水   野草
 笑つてゐるよぽぽの稔典     流水

ぎいと捩づ鯉の背鰭や秋の水    半眼
 紅葉を乗せて水輪ひろがる    默狂

吟行の句を懐に冬ざるる      流水
 師走の巷影を歩ませ       佐太郎

おらが春書斎に活けし猫柳     佐太郎
 午後の客へのまんじゅうを買ふ  結

風光るビルのガラスにビルの影   結
 アンパンかじるティファニーの前 默狂

頂吹く風やはらかき彼岸かな    和子
 河津桜のいまをさかりに     佐太郎

花冷えや末摘花の鼻の先      和子
 マスクをすれば皆美人なり    夏霜





   
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